キャッシュレス化で失ったものがある 子どもたちへの金銭教育を考える

現金の時代は,自然にお金のありがたさ,管理の仕方が身につきやすかったのかも

もう10年以上も前のことですが,FP(ファイナンシャルプランナー)のセミナーで,とても印象に残った話あります。

子供の頃,給料日は特別な日だった。
その日は夕食が,少し豪華になった。

父は普段よりちょっと高級なビールを飲み,給料袋を母に渡し,
母は夕食後に給料袋の中のお金を,食費,日用品,教育・・・などと書いた封筒に分けて入れていった。
そして,残った少しだけのお金を,自分と妹にお小遣いとして渡してくれた。

だから,自分は,それ以上のお小遣いをねだることはなかった。それ以上のお金は家に無いことはわかっていたから。
また,お金は,収入の範囲で使うものだということが身についたのだと思う。
今思うと,あれが母による金銭教育だった。

今は給料は銀行振込になったし,買い物はカードでできる。
とても便利になったし,昔に戻ればいいというつもりは無い。

でも,便利さと引き換えに,大切なものをなくしてしまったということは,覚えておいた方が良い。

なんとも昭和の風景ですが,
ものすごい勢いでキャッシュレス化が進む現在,
改めて考えなければならないことが沢山込められているように思います。

キャッシュレス時代は,お金の姿が見えない

現金は,お金の姿というのが見えます。
財布の中にあって,使った分だけ減っていきます。
自分がどのくらいまで使っていいか,とてもわかりやすいです。

でも,キャッシュレスだと,お金が見えなくなります。
さらに面倒なことに,使ってから引き落とされるまでのタイムラグもあって,どのくらい残っているか非常にわかりにくい。

しかも,以前は財布に現金が無ければ買い物をすることはできませんでしたが,キャッシュレスになると買えてしまうのです!

それでもお金の管理ができて,収入の範囲内に支出を抑えられる人ならいいのですが,そうでない人は使いすぎてしまいそうです。

以前,リボ払いで知らないうちにキャッシング残高が増えて困っている人の話を書きましたが,
今後はますますお金の管理のスキルが求められる時代になりそうです。

姿が見えなくなった「お金」とその管理の方法をどうやって子供たちに伝えるか

金銭教育なんて言葉,私の子供の頃にはありませんでした。あ,ちなみに昭和の時代です。
冒頭のセミナーの話ではありませんが,昭和の時代は,お金の姿が見えることで,ある程度自然にお金の管理の方法が身についたのかも。

もちろん,私も,現金の時代に戻るべきだなんて言うつもりはありません。
ネット通販がこれほど増え,さらにコロナ禍対面での現金払いが減っていますので,今の時代はキャッシュレス決済が合理的な仕組みになっているんですよね。
それなのに,金銭教育が今の仕組みに全く追いついていないように思えます。

親は子供に,カードやスマホでピピッと支払いを済ます姿しか見せられない。
その中で,親や社会は,子供たちにお金のありがたさや,管理の仕方を伝えて行かなければならない。
キャッシュレス時代に適応した金銭教育が必要ですよね。

お金の管理は,結局,収入の範囲内で支出することに尽きる

私自身は金融とは全く異なる仕事をしてきましたが,それでも,
資金繰りに苦労されている中小企業の社長さんとか,
住宅ローンの支払いに苦労している主婦の方とか,
カードの支払いに苦労しているOLさんとか,
お小遣いでほしいものが買えずにダダをこねるお子ちゃまとか
様々な人を見てきました。

でも,共通することはひとつ。
収入の範囲で支出しないと苦労するんだなということです。
ただ,お金の桁が違うというだけで。

もう,子供のうちに,このことだけは叩き込んでおいたほうがいいと思います。
お年玉をもらったらすぐ使っちゃう子,とりあえず貯める子,そういう違いはその子の性格だから,まあ,いい。
でも,もらった以上の金額を使っちゃいけないんだよ,ということは,スマホやカードを持つ前に伝えなきゃならないんじゃないかと思います。

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