介護認定のため炎のプレゼン

今度は介護認定のための訪問調査

すったもんだの末になんとか介護認定申請を受理してもらい、
意見書を書いてもらう病院も目処が立ち、
次に最大の試練が。

訪問調査です。
介護認定の申請を行うと、調査員である市町村の職員が自宅を訪問して調査を行うものです。

ここでは、認知症のために介護認定を取りたい時に、
認定を受ける高齢者の状況を正しく伝えて
納得の行く認定を受けるために
自宅で行われる訪問調査に向けて家族が準備すると良いと思われることを
私の経験をもとに書きたいと思います。

なお、入院している病院や、介護施設での調査には当てはまらないこともあると思いますので、ご了承ください。
(うちも入院中の父の調査では手も足も出ませんでした……)

調査時の母の状況

老老介護だったうちの実家。
突然、父が倒れ、母が一人残されましたが・・・
母は認知症が一気に進み、一人で暮らすのは絶対に無理な状態になりました。

一瞬前のことを忘れる。
自分がどこにいるかわからない。
周りに誰もいないとパニックを起こす。
食べるものが何もない、生きていけないと大騒ぎする。
(冷蔵庫の中、テープルの上に食べ物を山ほど用意しているのに、認識できない。)
不安になって電話をかけまくる。
何かを探して外に出て徘徊する・・・

なんとか介護認定をもらって、施設にお願いできなければ、私達の生活が崩壊する。

いや、仕事を休んで一緒にいたらいいじゃないかと言われそうですが、
一瞬でも母から目を逸らすとパニックを起こすんです。

なぜ、お父さんがいないの
→入院したんだよ。
ここはどこなの
→家だよ。
ご飯を食べさせてもらえない。
→さっき、昼ご飯食べたよね。
食べ物がどこにもない。生きていけない。
→ほら、テーブルの上にパンもあるし、冷蔵庫におかずもあるでしょう。
それで、なんでお父さんがいないの
→・・・

エンドレスです。
それも責め立てるように言われるんですよね。決してそんな人ではなかったのですが。
もう、本当に辛かった。
認知症って、本当に恐ろしいです。

プレゼン資料の準備

ということで、何が何でも介護認定をもらわなければならない。
でも、母は他人の前ではものすごくしっかり振る舞うんです。

そんな時、地域包括支援センターの方からもらったアドバイスは、
普段の母の様子をペーパーにまとめる。
母への調査が終わったら、そのペーパーを調査員に渡してしっかり説明する。
というものでした。

そう、プレゼン資料を万全にして、プレゼンで訴える!

そこで、実際に介護認定の仕事をしていた友達に連絡を取り、
資料作成の極意を伝授してもらいました。

資料作成の極意

  • 生活にどのような支障があるかを明記

まず、重要なのは、認知症のために、生活にどのような支障があるかを明記するべきということです。

例えば、

着替えができない。
介助がなければまともに食事できない。
排泄が失敗する・・・などなど。

介護認定に、
家族にひどいことを言うとか、それでどれほど傷ついたとか、親がこのようになって悲しいとか、そんなことは関係ありません。

あくまで、生活への影響、介護がなければ暮らせないことをしっかりと訴えるべきなんです。

  • いつから症状が出たかを時系列で記載する

これは、調査員の負担を減らすという意味もあるそうです。
調査員は戻ったら報告書を書かなければなりません。


話があっちこっち行かないよう、
いつからどのような症状が出て、
現在に至ったか……ということを
時系列に整理すれば、調査員も助かるで称し、家族が言いたいことも伝わります。

  • 家族による介護ができない理由を訴える

介護認定は本人の状態から判断するものなのですが、
家族による介護は限界!ということも伝えてもいいかもしれません。

常に見守りが必要なのに
隣町に別居して、フルタイムで仕事をしていて、同居して面倒みるのは無理。

自宅には介護が必要な別の高齢者がいる、等。

調査員にプレゼンを受け入れてもらうための極意

調査員も忙しいです。
何も言わなければ高齢者本人とだけ話をして、帰ってしまうかもしれない。
本人が他人様の前ではしっかり振る舞う場合ならなおのこと!
本人への調査が終わってから、本人のいないところで話がしたいと訴えなければなりません。

そこで調査員を引き留め、時間を取ってもらうため、

玄関で、本人と会って話をする前に、
「母の前で認知症の話をすると不機嫌になって調査に協力しなくなるので、
後で本人がいないところで話をさせてください。」
と言いました。

プレゼンの結果

案の定、母は調査員の前ではとてもしっかりとした受け答えをしてしまった訳ですが、
その後の私の炎のプレゼンが功を奏したのか、
想定していたより重度に認定されました。

いや、かかりつけ医になってくれた精神科の先生がしっかりとした意見書を書いてくれたためと思いますが・・・

でも、認定調査で何の対策もしていなければ、納得の行く結果にはならなかったと思います。

それにしても、このプレゼン、本当に緊張しました。
私、仕事ではプレゼンする機会が多いんです。
それなりに慣れていますし、
業界の全国大会で700人の前で発表したこともあります。
でも、その時よりも緊張しました。

失敗したら、母が介護サービスを受けられなくなる。
母は荒んだ気持ちのまま生活することになる。
認知症であっても、誰かに見守ってもらいながら、
なんとか少しでも穏やかな気持ちで生活してほしい。

そして、私も妹も、介護のために今の生活を捨てることがあってはならない。

そう、介護サービスって、
介護を受ける人も、家族も、その人の人生を生きるために必要なものなんですね。

この文章が、介護を必要とする方と家族の方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

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