
介護施設から、まさかの入院へ
「お父様が救急搬送されました。今すぐA病院に来てください。」
仕事中、施設から電話がかかってきましてね。
最初、何が起こったのかわかりませんでした。
1年半前、父が倒れ、救急搬送、緊急入院となり、
すったもんだの末に介護認定を取り、
苦労して施設を見つけ、
ようやく施設で穏やかに暮らせるようになって、
「これで安心」と信じていたのですが、現実はそう甘くはなかったのです…
一週間ほど前から微熱が続いているという連絡は受けていました。
面会に行ったところ、特に変わりは無い様子。
(でも、相変わらず、コミュニケーションは取れず、私が誰かもわからない。)
夜になると熱が上がることがあるとの話でしたが、
施設からは「新型コロナやインフルエンザの検査は陰性なので様子を見ています」と言われていました。
心配はしていましたが、まさか救急車を呼ぶほどのことになるとは…。
仕事中だったので周りに状況を伝え、急遽休みを取って、
急いで病院へ向かうことに。
施設に入れたことで「一段落」、「これで、もう大丈夫」と思っていた親の介護。
しかし、そうは行かなかった・・・。
命に別状はないことに一安心。でも…
病院に着くと、施設の看護師さんに付き添っていただき、検査を待っている状態でした。
お礼を言って交代し、検査、診察を受けることに。
その後、医師からの説明を受け、点滴治療がすぐに始まり、症状は落ち着いてきました。
「現段階では、命に別状はありません。」
医師からその言葉を聞き、ホッとしたのもつかの間、
「しばらく入院して治療を続ける必要があります」と現実を突きつけられました。
入院期間は1か月ほどになるとのこと。
入院となると、やらなきゃならないことが沢山でてきます。
様々な手続や支払い、必要な物の買い出し、
洗濯(寝間着などはレンタルできましたが、肌着は家族が持ち込み、洗濯)、
さらに施設にお世話になっている母との面会、
仕事との両立、しかも年度切り替えの繁忙期。
仕方ないのですが、忙しいのなんの。
時間的に忙しいというよりも、精神的にまいってしまいました・・・。
施設に戻れない?!
入院から1か月ほど経った頃、病院から連絡がありました。
「今後のことを関係者で話し合いたいので、病院に来てください。」
・・・え??今後のこと?退院じゃないの?施設に戻れるんじゃないの?
頭の中に「?」が飛び交う中、
そして、なんだか嫌な予感がする中、
病院に行き、医師、看護師との話し合いが始まりました。
「点滴治療は終わり、口からの食事も取れるようになりました。
医療行為としては終了なので、退院となります。」
「ただ、今後も容態が急変する可能性があります。
24時間、看護師がいる環境が必要ですね。」
え・・・??なにそれ?
もともとお世話になっていた施設は、昼間は看護師さんがいるものの、
夜間は不在となります。
つまり…施設に戻れない?!
「でも、まだ完全に回復したわけではないのでは?
もう少し入院させてもらえないでしょうか」
必死に交渉しましたが、ダメでした。
「医療行為が終わったので、これ以上の入院はできません。」の一点張り。
えー、そんなあ・・・
今どきの病院は、できるだけ早く退院させようとする、
医療行為が終わった患者を引き続き入院させることはできない、
病院とはそういうところだと
これまでの介護経験でわかっちゃいましたが。
でも、しかし、施設に戻れない親をどうすればいいの??
施設に戻るまでのつなぎで老健にお世話になることに
医師の説明後、看護師、病院のソーシャルワーカーとの話し合いが始まりました。
「実は当院の付属の老健に空きが出たんです。
入院期間が長引いたと思って、まずはそちらに入所してはどうでしょうか。」
老健とは—介護老人保健施設の略称です。
老健は、病院と特別養護老人ホームなどの介護施設の中間に位置する施設で、
医師や看護師が常駐しており、医療ケアと介護サービスの両方を受けることができる施設です。
でも、老健には原則として3ヶ月しか入所できないのです。
「回復期」のための施設なので、長い間はいられません。
「3ヶ月以内に回復して、元の施設に戻れるようになるだろうか…」
不安はありますが、他に選択肢はありません。
とにかく今は24時間看護師さんがいる環境で療養して
リハビリを受けて、
早く元の施設に戻れるくらいに回復してもらわなければ。
また見えてきた介護の現実
この経験で、「施設に入所できたから安心」という考えが
いかに甘かったかを思い知らされました。
介護の道のりは、終わりが無いですね。
先が見えないですね。
思ってもいないことが出てくるものなんですね。
「これで大丈夫」と思っても、新たな問題が次々と出てくる。
一つの山を越えたと思えば、すぐに次の山が見えてくる。
先が見えないのはつらいですね。
本当、何度も心が折れそうになります。
仕事、介護、子どものこと…
もう、いやだー!と投げ出したくなることも時々あります。
いや、本当はいつも投げ出したいと思っている。
でも、仕方ないんですよね。
投げ出しても状況は変わりませんし、結局、やるしかない。
後回しにしても、余計面倒なことになるだけですから。
今は老健にいる間に元の施設に戻れる状態に回復することを祈りながら、
ちょくちょく面会に行き、足りないものがないか確認し、
スタッフの方に状況をお聞きしている状況です。
同時に、施設にいる母への対応もあります。
親の介護は、まだまだ続きます。
続くというのは、親がいてくれることなのでありがたいのですが…。
こんな中でも自分の生活や、ささやかな楽しみを大切にして
なんとか乗り越えようと思っています。