
両親が介護施設に入ることになり、実家が空き家になりました。
私はマンション住まいなので、近所づきあいといっても挨拶程度。
マンションの管理組合はあっても町内会はなく、
「空き家になるときに根回しが必要」なんて発想自体がありませんでした。
ところが、実際にやってみると――これが思いのほか大切だったのです。
根回し必要という言葉
そんな私に、ご近所根回しが必要だと言ったのは妹でした。
妹は、古くからある住宅地に家を建てて暮らしています。
ご近所付き合いもそつなくこなし、
町内会活動にもしっかり参加し、班長や役員の当番もちゃんと務めています。
そんな妹が、
「ちゃんと近所に言っておかなきゃ…。町内会にも連絡して、当番と回覧板を止めてもらわなきゃ…」と言ったのです。
そういう発想は全くなかった!
マンション暮らしが長くなり、町内会活動と縁が無くなり、
あまり実感がなかったんですね。
でも妹いわく、昔からの住宅地では、
今でも町内会が生活の基盤になっているとのこと。
回覧板やゴミ置き場の清掃当番、月に一度の地域の清掃など、
小さなことだけどこれが無いと快適に暮らせないことを町内会活動で回しているんですよね。
まずはお隣さんから
そうして挨拶の菓子折をいくつか買い、
次に実家に行った時に、まずお隣さんに話をしに行きました。妹が。
やはり、日常的に家の様子を見てくれているのは近所の方です。
こちらから事情を伝えておくことは、
空き家を安全に保つための第一歩なのかもしれません。
次は町内会関係です。
実家の地域では、回覧板やゴミ置き場の清掃当番などが順番で回ってきます。
両親がいなくなると、それらの当番から外してもらわなければなりません。
そこで、町内会の班長さんに連絡し、
(連絡先はお隣さんに教えてもらいました)
回覧板や清掃当番から外してもらうようお願いしました。
その後、町内会長さんにも事情を説明して、正式に町内会を脱退。
この根回しをしていなければ、
何も知らずに当番が回ってきていたと思います。
当番をせずに迷惑をかけてから脱退するのではなく、
事前に手を打って置いたことでスムーズに進んだのだと思いました。
民生委員さんと交番へも一報を
その後、地域の民生委員さんにも、両親が施設に入ったことをお伝えしました。
民生委員さんは高齢者の見守りをしてくださっているので、
情報を共有しておくことは大切だと思います。
さらに、地元の交番にも空き家になることを伝えました。
巡回の時に気をつけてくださるということで、心強く感じました。
妹と役割分担
これらの挨拶、根回しは、
実は全部、妹にやってもらいました!
私は施設、病院、役所関係、
妹はご近所、親戚関係と
対応先を分担して進めました。
相手も窓口が一本化している方が良いと思いましたので。
私はビジネスライクに、事務的に連絡、交渉することはできますが、
気配りやら何やらが必要な人付き合いは苦手なんですよね…。
親のご近所づきあいを尊重するということ
今回、一連の根回しをして強く感じたのは(いや、やってくれたのは妹ですが)、
自分の感覚ではなく、親のご近所関係や考え方を尊重して進めることの大切さでした。
私は近所づきあいが希薄なマンション住まいですが、
両親は違ったんです。
人付き合いには消極的で、あまり近所と深く関わらなかったけれど、
町内会の清掃にはちゃんと出ていたし、回覧板もきちんと回していました。
つまり、ご近所とは程よい距離での付き合いがあったんです。
その上に、これまでの暮らしが成り立っていたということがわかりました。
両親は介護が必要になり、
もう、この家に住むことはないけれど、
地域との関係を丁寧に閉じていくことが、
子の務めであり、
親を支えてくれた地域への礼儀でもあるのだと思いました。
まとめ
空き家になるというのは、単に家が空くだけではなく、
そこに長年続いてきた“つながり”を整理することかもしれません。
妹から言われなければ、
私だけだったら、特に何もせずに放置していたのではないかと思います。
自分の感覚だけで進めず、親の築いてきた関係を尊重する——
それが、実家が空き家になったときに必要な心構えではないかと思いました。
